アリスズ
☆
半年。
半年近くが、飛ぶように過ぎたことを、景子はその時に知ったのだ。
畑を回り、学校へ行き。
ら、来月。
来月には、アディマたちが都に帰ってくる。
やったことは、とりあえず連作障害の対処法をまとめた文書を、ネイディに習いながら何とかこさえたこと。
景子は、過去の生産量の推移を表すために、無意識に棒グラフを作成してしまい、ネイディに『へんてこだけど、分かりやすいな』と笑われてしまった。
短大時代のレポートや、OL時代の仕事のせいで、変な技がしみついてしまっているのだ。
あの書類、ちゃんと農村に回るといいなあ。
一体、いまどこの部署に回されているのか、謎なままなのだ。
もしかしたら、ここのウラナリ上司の机の下に落ちて、放置されているかもしれない。
結局、まだ何の成果も上げられていない、というのが現状だった。
や、やばい。
落第の危機にある学生のような気分を、景子は味わっていた。
このままでは、せっかくリサーの父親まで引っ張り出して推薦してもらったのに、役に立っていないではないか。
農林府に勤めてみないかと、最初にアディマに勧められた。
彼は、二十歳にならなければ都に戻れないため、先に景子だけを行かせようとしたのだ。
最初は、一人で行く不安はあった。
だが、梅と約束したのだ。
足場を作って、そこに彼女を呼ぶと。
農林府という役所は、景子にとってはその足場とやらを踏み固めるに、相応しいところに思えた。
だから、こうして一人で先に入って働いていたのである。
なのに。
いまひとつ、うだつが上がっていないではないか。
リサーの父親や、アディマの父親の威光にぶら下がっているだけである。
あわわ。
実験は、いろいろ行っている。
枯れ草や石材、川の貝の殻に堆肥と、農林府の実験用の畑にまいて、土の様子をみているが、それぞれ結果が出るまで時間がかかるのだ。
二二が四、二三が六。
つい、九九を頭の中で詠唱し始めてしまったが──ただの現実逃避だった。
半年。
半年近くが、飛ぶように過ぎたことを、景子はその時に知ったのだ。
畑を回り、学校へ行き。
ら、来月。
来月には、アディマたちが都に帰ってくる。
やったことは、とりあえず連作障害の対処法をまとめた文書を、ネイディに習いながら何とかこさえたこと。
景子は、過去の生産量の推移を表すために、無意識に棒グラフを作成してしまい、ネイディに『へんてこだけど、分かりやすいな』と笑われてしまった。
短大時代のレポートや、OL時代の仕事のせいで、変な技がしみついてしまっているのだ。
あの書類、ちゃんと農村に回るといいなあ。
一体、いまどこの部署に回されているのか、謎なままなのだ。
もしかしたら、ここのウラナリ上司の机の下に落ちて、放置されているかもしれない。
結局、まだ何の成果も上げられていない、というのが現状だった。
や、やばい。
落第の危機にある学生のような気分を、景子は味わっていた。
このままでは、せっかくリサーの父親まで引っ張り出して推薦してもらったのに、役に立っていないではないか。
農林府に勤めてみないかと、最初にアディマに勧められた。
彼は、二十歳にならなければ都に戻れないため、先に景子だけを行かせようとしたのだ。
最初は、一人で行く不安はあった。
だが、梅と約束したのだ。
足場を作って、そこに彼女を呼ぶと。
農林府という役所は、景子にとってはその足場とやらを踏み固めるに、相応しいところに思えた。
だから、こうして一人で先に入って働いていたのである。
なのに。
いまひとつ、うだつが上がっていないではないか。
リサーの父親や、アディマの父親の威光にぶら下がっているだけである。
あわわ。
実験は、いろいろ行っている。
枯れ草や石材、川の貝の殻に堆肥と、農林府の実験用の畑にまいて、土の様子をみているが、それぞれ結果が出るまで時間がかかるのだ。
二二が四、二三が六。
つい、九九を頭の中で詠唱し始めてしまったが──ただの現実逃避だった。