アリスズ
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 大きな祝打が、夜明けとともに打ち鳴らされた。

 木でつくられた太鼓は、町中の空気を震わせて、祭の始まりを告げる。

 アディマは、眠れぬ夜を過ごした。

 昨夜の彼は、眠ることが許されなかったのだ。

 夜を照らす太陽の代わりを、果たさなければならなかったのである。

 町の人間が、昨夜から前夜祭と称して、夜の町で歌い踊るからだ。

 夜も太陽が照らすイデアメリトスの祭として、これから長である父親と、交互に夜を徹するのである。

 だが、眠れなくてよかったこともある。

 叔母の事件について、手を尽くすことが出来るからだ。

「大丈夫ですか?」

 式典用の儀礼服に身を包んだリサーが、彼の前に現れた。

 既に、彼の耳には入れてある。

 側にはいないが、ダイも影に控えているはずだ。

 正式な書類上、この二人がアディマの旅の同行者として記載され、国の歴史として残される。

 文ではリサーに、武ではダイに。

 これから一生、アディマは助けてもらうつもりだった。

 そう。

 彼らは、11人の賢者のうちの2人となるのだ。

 アディマの寿命さえも決める、人間の内の2人に。

 イデアメリトスの長としての在位は、本人の命が尽きるか、任命した賢者11人が全て死した時。

 賢者が死した場合、補充はない。

 その賢者の仕事に近い府が、代行することになる。

 賢者が全て死してなお、世継ぎが成人していない時のみ、在位を続けるのだ。

 そのため、どの長も若い賢者を登用することが多い。

 リサーとダイの登用については、旅の同行者という誉れもあるため、おそらく誰も拒むことはできないだろう。

 たとえ、それが農民出身のダイであったとしても、だ。

「何か…分かったか?」

 アディマは、意識を切り替えた。

 賢者について考えるのは、まだ先でいい。

 それよりも、彼がやらなければならないのは、叔母を狙うものを探すことである。

「それが…怪しい者の情報は…特には…」

 ふぅ。

 宮殿の内部は、お互いにいろいろつながりがあり、知人の不利になることを言わない者もいるだろう。

 やはり──外部の者を入れなければならないか。
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