君が必要とする限り


達也くんとのキャッチボールは、昼休みの日課になりつつある。


達也くんは、キャッチボールが得意だ。


確か、少年野球チームに入っていると聞いた。


キャッチボールをやっている時の達也くんは、本当に楽しそうで、生き生きとしている。


そんな姿を見ると、俺自身も生きててよかったと、そう思えるんだ。







「あ〜!先生!遠くに投げすぎ〜!」


「ごめん、ごめん!」


思いの外、遠くに投げてしまった。


ボールは草むらへと転がってしまったらしい。
ここからは、見えない。


「僕っ、取りに行ってくるね、先生。」


達也くんは向きを変えて走り出した。


「あ!達也くん。あんまり走っちゃダメだよ!」


偶然なのか、必然なのか。


「川崎先生〜!お姉ちゃんがボール取ってくれたよ〜!」





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