愛、故に
「違う……」
「おい、ひで。
意外な趣味だな―」
女が何か言った気がしたけど
アユムの囁きでかき消された。
「ばっか、気まぐれで話しかけただけ」
オレが囁き返すと
アユムはやっぱりね、と言うように嘲笑した。
「じゃ、オレらは行くね。
またね、さやかちゃん♪」
オレはまた満面の笑みでそう言った。
そのとき
「違う!!!」
女が大声を出した。
オレとアユムはギョッとして
女を見つめた。
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