一木くん
「日野、毎年バレンタインの日だけはちゃんとヤキモチ妬いてくれるんだよ、なぁ」

可愛いなぁもう、なんて言いながら一木は私の頭を撫でる。

「だって、一木のモテっぷりを痛感するんだもの」

「知ってるだろ、日野から貰ったチョコ意外は全部家族におすそ分けしてるって」

「知ってる、知ってるよ、だけど、」

「どうしても妬いちゃう、って?」

「・・・うう、その通りです」

「安心しろ、俺の恋心はお前だけのものだから」

ほら、調子付くとすぐアメリカ癖が出て

「…寒い、寒すぎるよ一木」

「顔赤くしちゃって、本当は嬉しいんでしょー?」

「嬉しい、ですけど、ねっ」

そう言い切って、私は彼の胸へ飛び込んだ。




毎年毎年10個以上もチョコレートを貰う彼。
だけどちゃんと彼の口へ運ばれるのは、

私のチョコレートだけ、












「ずっと抱きついててくれるのも嬉しいんだけどさ、日野のチョコレートも欲しいんだけど、な」

…すっかり忘れるところでした。



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