たとえばあなたが
「雰囲気って?」
「だってほら、前はそこらに転がってるオヤジって感じだったじゃない?」
微妙に失礼な表現が気になるが、千晶の正面では萌が、うんうん、と頷いている。
「そのオヤジが、先月はピシッとスーツなんか着てさ、品のいいおばさんと一緒に来てたの~」
「うわっ、貢いでもらってるんじゃない?」
「私もそう思う~!」
萌と美佐は、千晶そっちのけで盛り上がっていた。
(…みっちゃん、すごい)
千晶は、その男の人のことよりも、美佐の記憶力に驚いた。
言われてみればそんなこともあったけれど、千晶にはその男の顔まではまったく思い出せなかった。
「本当に同一人物なの?」
と千晶が聞くと、美佐は、
「あの異様なオーラは、絶対に間違いない」
と、鼻息を荒くした。