たとえばあなたが



「………え?」

ポトリ、と灰が落ちた。

聞き間違いかと思った。

けれど目の前の木村の顔を見れば、そうではないとわかる。

「部長、今何て…」



退職…?



(どうして、俺が…?)



関係ない部署での話だと聞いているのに、どうして?

状況が把握できずに戸惑う松田の前で、木村は黙ったまま俯いていた。



「部長、ど、どうして俺が…」

「お前だけじゃないんだ」

これを見てくれ、と言って木村は小さな紙をテーブルに置いた。

松田が手に取って見ると、それは新聞記事のようだった。

「これ…は…?」



【株式会社ライズ、若手社員共謀し横領企てる】



記事のコピーと思われる紙には、見出しに続いて、松田が耳にしている事実とは異なる内容の記事が、もっともらしく書かれていた。




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