★悪魔と妹★
玄関前で一度パタパタと服をはたいてから、大きな扉をそっと押して中に入る。
ホールにも誘うように朝食の香りが充満していて思わず笑みが零れる。
さっき2つだけもいでみたアケビを朝食のテーブルに出してみよう。
お兄様は喜ぶかしら。
そんな事を考えながらふと床に目をやると……
扉の近くの床にポツンと白い封書が。
(あら……?)
私は不思議に思った。
毎日何通かの手紙は当主宛に届きはするのだけれど、それらは全て使い魔さんにきちんと手渡しされている。
いかにもポンと放ったような白い封書は、余分な物が何一つないシンプルで整ったエントランスホールで不自然な存在感を放っていた。