この出会いが奇跡なら-上-






あたしたちに気付いた教師が、あたしの名前を呼んでこっちへ駆け付けて来る。



「成宮無事で良かったよ。春、まさかお前が探して来てくれたのか?」


「ああ、なんか文句でもあるのかよ」


成斗がそう言うと、教師達はまるで信じられないといった表情を浮かべて、成斗をじっと見つめた。


「………」



成斗はきっと、こんなところ教師達に見られるの凄く嫌だったろうな。


それでも成斗は無茶するな。と、あたしを背中から降ろさないでいてくれた。



――そんな些細な気づかいが、物凄く嬉しく感じた。






「医務室どこ?」


「ああ。1階の突き当たりをすぐ曲ったとこにあるぞ」

「ふーん、分かった」




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