この出会いが奇跡なら-上-





「えっと、ひじ」

「ほら見せろ」


「…うん」


何だか優しすぎて調子が狂ってしまう。




「…ぃッ」


「出すならさっきみたいなもっと良い声出せ」


「な、何期待してるわけ」


「いや、お前に期待なんて一つもしてないけど」


「ふん、あっそ」


「何。期待してほしいのかよ?」


「別にそんなんじゃない」


「ふーん、本当に?」


そう言う成斗の顔が、すごく近い。

目と目が合って体温がぶわっと一気に急上昇した。



「馬鹿、近いよ」



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