この出会いが奇跡なら-上-




「ふあ…」

「でっかいあくび」

「見ないでよ」

「目に入ったのー」


こんなくだらない話で盛り上がりながら、あたしと愛子は朝食を食べる食堂へと向かった。





「5分遅刻」


気づかれないようにそろっと行こうとしたら、あっけなく見事に担任に気付かれてしまった。




「えっと、すいません」

「成宮はともかく、山川まで」




それ、どーゆう意味だ。

一瞬そう言いたくなったけど、あたしはあえて黙っておく事にした。




「もう早く自分の班に行きなさい」


はーい、と軽く返事をして、3班と書かれたテーブルへと向かう。




「やっぱり遅刻?」


一緒の班の真衣にそう聞かれ、「うん、やっぱりは余計だけどね」ってそう言うと、目の前の真衣に「ははっ」と笑われた。




「…………」


あたしもそんな真衣に笑顔を返して、その隣にチラリと目を向ける。


…ああ、そういや成斗とも同じ班だったんだ。




気まずい。

いつもなら、何かしらと声掛けてくれるのに。


今日は何も。目すら合わせてくれない。



寂しい。



「…………」



気まずくしたのは、あたしの方なのに。





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