この出会いが奇跡なら-上-




成斗の方を、気付かれないようにチラリと見つめる。



けど、まるでそれを察したかのように、パチっと必然的に成斗と目が合ってしまった。



だけど、それにやばいと感じてしまったあたしは、そこからすぐにパッと目をそらしてしまう。



どうしたらいいのか分からなくて、これ以上は気まずくなりたくないのに、言葉とは裏腹の行動をとってしまう。



そんな曖昧なあたしに、成斗もふいっと顔を違う方へと向けてしまった。



ああ。馬鹿あたし。






その後、教師からの諸注意を終え、バイキング形式の朝ごはんが始まる。



「桜ー、おかず取りに行こー」

「え、あーうん」




愛子とそう言葉を交わしつつも、あたしは自分の目の先が気になって気になって仕方がなかった。





「ねえ、取りに行こう?」

「ああ、いいけど」



あたしの目線の先には、成斗と真衣の二人。



真衣の奴、ちゃっかりしっかり席まで成斗の隣キープしちゃってるし。



そんな二人の姿が、心にズキンと響く。




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