この出会いが奇跡なら-上-
……本当に、なにもなくてよかった。
何かいい事あると、多分真衣から話してくるよね。
それはそれで嬉しいけど、大分複雑。
友達の恋が進展してないって事、心の奥底では嬉しがってるんだから。
真衣の好きな人が成斗じゃなかったら、真衣を心の奥深くから応援出来たのに。
同じ人を好きになってしまったから……
辛いけど、もう心はズタズタで壊れかけようとしているけど、それでも真衣との間に出来そうな友情も壊したくないから、ホントの事を口にしない愚かなあたし。
いつか本当にライバルになっちゃう日が来るのかな。
そんな事を思ってると、いきなり携帯の着信音が鳴り響いた。
「あれ、誰だろう」
またしても知らない番号だ。成斗のは登録してるし。
一体誰だ。
そんな事を思いながらもあたしは恐る怖る携帯電話を耳に当てた。
「えーと、もしもし…?」
「おう、元気にしてるー!?」
「……あ、」
この軽はずみで、聞き覚えのある声は…
「…光輝?」
「せいかーい!すぐ分かった?」
「うん。声とかですぐ」
「ほんと?あんさー、今時間ある?」
「時間?あるけど?」
「今からそっち行っていい?」
「ん、ああ良いよ?愛子とかいるけど」
「んー、じゃあ部屋の前で待ってて。すぐ行くから」
「分かった」
あたしがそう言うと、電話はプツっとそこで一方的に切れてしまった。
なんだ、光輝か。なんて安心しつつも、あたし光輝に言われた通り、部屋の前で光輝が来るのを待つことにした。