この出会いが奇跡なら-上-
その数分後、手をブンブンと大きく振りながら、光輝がこっちへ向かってやってきた。
「昨日振り?」なんて言って笑い退ける光輝に、あたしも昨日振りだねとそれだけ返した。
「どうしたの?」
「ん、いやちょっと」
「え?」
あたしがそう言うと、何故か光輝派光輝はあたしからパッと目を逸らした。
あたしは頭に「?」を浮かべつつも、光輝の言葉を静かに待つ。
「これ」
「え…?」
スッととあたしの目の前に差し出された小さな可愛い袋。
「え、えっと何?」
「何って、お土産!桜に」
「え、嘘!」
目をまん丸くして光輝を見つめると、何故か不意に「こっち見んな」と光輝にそう言われた。
「何で、あたしに?」
「聞くなよ」
「えぇ、何それ」
そう言われ、少し不満が残るあたしに、光輝は「はあ」とひとつ息を吐き出し、「あの時のお礼にでもしとく」と小さな声でそう言った。
「あ、あの時のお礼?」
「あれあれ、手当てしてくれた時の」
「ああ、あれ…」
確かそれってもう1か月よりも前の事なんだけど。
「っつーか、桜に買ったんだから絶対使えよ?」
「うん、これ中身なあに?」
中身が物凄く気になってそう聞くけど、
「あとで開けろ!あとで!」
光輝はそれだけ言葉を吐き捨てて、すぐさま「じゃあな!」と手を振って自分の部屋へと帰って行ってしまった。