この出会いが奇跡なら-上-
『いいよ。別に辞めたいって思ってたとこだし』
………成斗?
何言ってんの。嘘でしょ。
『少しも否定しないんだな。退学だと言われているのに』
『お前が退学だって言ったんだろーが』
『相手に対する言葉も考えなさい』
……成斗が退学?
そんなあっさり学校辞めちゃって、成斗は本当にそれでいいの?
まだ成斗がやったって、決まってもないのに。
こんなの、酷過ぎる。
いてもたってもいられなくなって、会議室の扉を勢いよくバンっと開けた。
「ちょっと待って下さい!」
「あ、ちょ…っ桜!」
光輝があたしを引き止める。
だけど、もう遅い。
「まだ成斗がやったって分かってもないのに、退学だなんて酷過ぎると思いませんか!?」
「おい桜やめろ。いいって」
成斗があたしを見つめてそう言った。
そんな成斗にも、くつくつと何かが、腹の底から込み上げて来る。