*エトセトラ*
客観的に自分を見ると、かなりひく。

きっとモカは、俺に対して不満だらけかもしれない。

今頃、「女子会」で俺への不満を披露しているのだろうか。そんな姿を想像してしまって、思わず笑ってしまった。

そうなれば、きっと周りからは面倒くさい彼氏として知れ渡るんだろう。

やべえな、と心の中で苦笑している俺をよそに、周りはまだ勝手に盛り上がっている。


「超従順な彼女じゃん!羨ましい」

「従順っつーか…」

「でも、不満もないなんて完璧ってことだろ?」

「俺にとっては」


例えモカへの不満があっても、それさえも愛おしいと思うだろう。

即答する俺に対して、皆「すげぇ!」「マジでベタ惚れじゃん!」と次々はやし立てる。

そんな中、やはり不純なことを言ってくる奴もいて。


「おい黒崎!彼女だけじゃなくて他の女も見るべきだ!」

「はあ?」

「世の中にはいろんな女がいるってことだよ。黒崎が女1人だけってもったいねえ!」

そんな声に「そうだそうだ」と賛同する奴もいる。


「何度も言うけど、1人しかいらねえから」

「そう言わず合コンとか行けって。黒崎なら100%お持ち帰りできる!お前が落とせない女はいないから!」

「何だよそれ。行くわけねえだろ」

「もしかして、合コン行ったことねえとか?」

「……すぐに帰った」

前に一度、モカの兄貴に有無を言わせず連れて行かれたが…。確か後藤と一緒に。

そのときのことなどもう覚えてないし、正直、カウントしたくない。


「じゃあ、一回俺たちと一緒に行こうぜ!」

「何でそうなる」

「彼女には黙っててやるからよ」

「だから、行かねえって」

「気に入った子いたら、お持ち帰りしていいから」

「あり得ねえ。気色悪い」


しばらく、浮気を勧められるという、ろくでもない会話に付き合わされていると、トイレに行っていた1人の部員が興奮気味に声を上げながら帰ってきた。


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