*エトセトラ*
「じゃあさ!俺らが質問するから答えてくれよ!」

「……質問?」

「そう!それくらいいいだろ!」

「…………例えば?」

何でそうまでしてわざわざモカのことを話さなきゃいけねえのかと思うが。

少しだけ譲る姿勢を見せた途端、待ってましたとばかりに質問を浴びせられる。


「彼女ってやっぱ口うるさい?すぐ文句言ったり」

「全然」

むしろ、もっとわがままを言ってほしい。口うるさいのは俺の方だ。


「携帯とか勝手に見ねえの?他の女のメモリーとか」

「見ねえだろうな」

別に、見られても全然問題ないが。逆に俺の方が勝手に見る可能性がある。男のメモリーが入ってたら、誰だといちいち問うだろう。


「すぐ浮気疑ったり」

「疑われることなんてしない」

浮気など考えられない。俺がモカにしか興味ないって、モカもさすがに分かっているだろう。逆に、モカの心が他の男に向かわないか、俺の方がいつも心配している。


「遊びに行くのも許してくれなかったり」

「それもない」

モカを置いて遊びに行くこともないし、あったとしても、おそらく「行ってらっしゃい」と笑顔で送り出されるだろう。

許さないのは俺の方だ。そこにもし他の男がいようものなら、絶対に許さない。


「一緒にいたいとか、デート連れていけとかは?こっちは忙しいのに」

「めったに言わねえな」

もっと言ってほしいが、大抵、俺がいつも先に言う。一緒にいたい、と。


「私だけを見て!とか」

「……言わねえな」

そんな大胆なことは言わない。それも俺が言う。「俺だけを見ろ」と何度言ったことか。



………………。



おい、……ちょっと待て。


色々と質問に答えていくうちに、自分の思考にぞっとした。

今のところ、質問される「不満」の内容が、モカじゃなくて俺の方に当てはまる。


もしかして、………俺って、面倒くさい彼氏なのか?



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