さぁ、跪いて快楽を乞え!
「あ、雅美だ」

「雅美だ」

「おはよーう」

トイレに向かおうと廊下を歩いていた薫に声を掛けたのは、トイレから戻ってきた双子のハルとアキ。一卵性双生児のため、顔も、身長も同じくらいで、158cmほどだ。

見分け方は向かって右分けでベージュのカーディガンが兄のハル、左分けでキャメルのカーディガンが弟のアキ。そして、アキの方が少しだけつり目だ。

「おう」

「今日も遅かった」

「遅かったねー」

「ねー?」

二人で、ねー? と顔を合わせて言う。最初に言うのがハルで後に言うのはアキだ。

「おまえらのその喋り方ムカつく! 黙れ!」

「雅美こわーい!」

「こわーい!」

「うるせぇ!!」

「うわぁー」

「わぁー!」

怒った雅美にわぁー! と廊下を走っていくハルとアキ。

「二度と来るなぁー!」

走っていくハルとアキに叫ぶ薫。
この光景を橘が見たら何と言うのだろう……。
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