さぁ、跪いて快楽を乞え!
「あぁ、そうだ。今日は図書室で本を借りたんだ。……読むか?」

だだっ広い薫の部屋で、薫の制服を脱がせ、スエットを渡していた橘に薫が聞いた。

「何という書物で?」

「『Emma』」

映画化もされたイギリスの恋愛小説だ。最終的に主人公が17才年上の男性と結婚していた気がする。

「ずいぶん可愛らしい物を読んでいますね……」

「何だよ……まぁ、別に橘のために借りてきたわけじゃないから良いけど」

「そう言うなら、聞かないで下さい」

「ついでだ……ついで」

「何のついで、ですか?」

意地悪く微笑み、薫に聞く橘。

「……聞くな」
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