さぁ、跪いて快楽を乞え!
「御馳走様」

スプーンを置き、手を合わせる。

「ずいぶんと美味しそうに貪るものですね……」

「……悪いか」

橘が、薫の前に置かれる料理が綺麗に無くなったお皿を見て言った。いや、何だ、お皿を見たんじゃない。正しくは「料理を食べる薫」を見ていた橘が言ったんだ。

「いえ、別に。そんなに美味しいものか、と」

「美味かったぞ。後で伝えておいてやれ」

「貴方が直接伝えたら如何です? そんな面倒なことしたくありません」

「お前な……何様のつもりだ」

「橘様ですが、何ですか? 明日からは様付けで呼んでくださるんですか? 私は全然構いませんが」

薫の前からお皿を片付けながら、平然と言ってのける。

「……お前は執事だろう」

「能力序列です」

「そんな言葉聞いたことあるか!」
< 22 / 119 >

この作品をシェア

pagetop