さぁ、跪いて快楽を乞え!
「序列、という言葉は一定の基準に従って並ぶこと。ということは能力に従って並ぶ、ということです。つまりは私がしもじもの者よりも上だということです」

「能力なら俺の方が上だ」

ふん。と偉そうに頬杖をつき、橘を上目気味に見る。

「何を仰いますか。貴方はいまだに、私の採った点数を抜かせないでしょう」

現在高校二年生の薫だが、昔、橘が採ったその時々のテストの点数を抜かせたことは、一度も無い。

「点数が全てじゃ無い!」

その言葉を聞いて頭に血を昇らせ、ガタッ! っと席を立ち、橘に食って掛かった。だが、橘は人差し指で眼鏡のフレームを押し上げ、薫に冷静に言い返した。

「何を甘ったれているんですか? 雅美家の跡取りとして生まれたからには点数が全てです。それは貴方が一番ご存知の筈ですが?」
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