さぁ、跪いて快楽を乞え!
「だからって……だからってこんな時間まで……!」

現在時刻は10時49分。
急いで学校へ向おうともそうでなくとも、大遅刻だ。

「えぇ、お陰様で久しぶりにゆっくりと朝食を取らせて頂きました」

橘は嫌味たっぷりに返し、

「さらに、食後の紅茶まで」

ほら。と中に綺麗な赤色をたたえるマイセン(Meissen)のティーカップを薫に向けて見せた。

「実に清々しい朝ですねぇ……」

それを聞いてわなわなしだす薫。自分で蒔いた種なのだが、ここまで言われると、とても苛つく……。

「何です? 黙り込んで。私は嘘を吐いていないでしょう? むしろ吐いたのは貴方です」
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