さぁ、跪いて快楽を乞え!
「ちなみに貴方はどの程度まで女性らしくできるんです?」

「……そこそこ?」

女性らしくすることの最低限はできているつもりだ。菖蒲にはボロクソ言われたが……。

「ほう? では、見せて頂きましょうか。貴方の女役を」

「え゙……」

「台本を貸しなさい。どれほど迄に駄目なのか、見てさしあげます」

橘が部屋にあるアンティークの椅子に座り、はい、と手を差し出す。「お前が台本を持って来い」と目が言っている。

「……最悪」

鞄から表紙に皺が寄った台本を取り出し、橘に手渡す。そして、台本を受け取った橘は、「最悪」と言った薫に向かって釘を刺した。

「付き合わされる私の身にもなってくださいね?」
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