さぁ、跪いて快楽を乞え!
どうやら劇は「白雪姫」をやるらしい。
がっつりとスリットの開いたドレスで白雪姫をやるのは、どうにもアンバランスな気がしてならない。しかも、先程見せてもらったが、ウィッグは黒髪カールだった。
……いや、どうせ白雪姫をやるのは主人なのだ。滑稽に見えた方が楽しめるだろう。

しかし……。

主人の方を一瞥すれば何とも男らしい「白雪姫」がそこに居た。

台詞は完璧、演技はそこそこ。なのに、仕草がダメダメ。なんだか無性に腹がたって、主人におもいっきり力を込めて台本を投げ付けた。……と言うよりもなるべく角が当たるようにぶつけた。

「って!? 何すんだよ!」

演技に集中していた主人は、私からの思わぬ台本の攻撃を直に食らってしまったらしい。すぐに不満を垂れた。

「貴方は本ッ当にクズですね。もっとまともに動いて下さらないと、お目汚しです。苛つきます。死んでお詫びして下さい」
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