犯人ゲーム
死のう。
この地獄から抜け出す為に。
引き金を、ゆっくりと引く。その瞬間。
何かが陽一のソファにぶつかった。
一瞥すると、一人の女子がぶつかったのか、中腰の体勢になっている。
女子は怯えるような視線を明後日の方に向けていた。
「どうせよぉ、みんな死ぬんだからさ。気持ちイイ事してさ死んだ方がいいじゃん?」
声は女子が目を向ける方からした。
のそりと薄闇の中から現れたソイツは、なんて言ったっけか。
やけに不良ぶっているという事しか思い出せない。
まぁ別に今更人の名前なんてどうでもいい事だけど。
ふと陽一は視線を感じた。
見れば女子と目があった。
「い、一ノ瀬君助けて」
縋るような視線は、どうしてだか遥を思い出させた。
「あん?なんだよ一ノ瀬。邪魔すんの?邪魔すんなら殺すぞ?」
巻き舌を含ませながら脅すかのように語気を強める。