王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
翼を広げれば優に20メートルは越える身体。
幻龍は天を仰ぐ。ドラゴンの咆哮が耳を刺した。
鼓膜が破れそうなほどの叫びは、ドラゴンの怒りを表していた。
再び幻術フィールドが展開されれば、生き残るのは無理であろう。
レインは口の端を上げる。
蒔いた種は、すでに芽を出している。
幻龍の上空に見える黒い影。
「これでも喰らえ!」
獣兎に乗ったユリエス。
握りしめた結晶を、幻龍目がけて投げつけた。
大きく口を開けた幻龍に結晶を飲みこませるのは容易だった。
結晶を飲み込んだ所を確認すると、レインは呪文を唱え始めた。