王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
二人は武器を手に取り、ドアから外へ飛び出す。
辺りは漆黒の闇。視力はほぼ奪われる。
だが気の流れを読む流浪の民に、闇夜など関係ない。
人の気の流れを感じ取る。
悪意に満ちた気が、自分達を取り囲むように全方位からヒシヒシと伝わってきた。
「50……いや、60はいるな。ここまで人を用意するとは、敵は本気で私達を抹殺する気のようだ」
「イケそうか?」
「やるしかないだろう。だが数が多すぎる。この陣形を崩さないと危ういな」
「んじゃあ私の出番だね!」
シリアスな雰囲気に響く陽気な声。
二人は声のする方を向くと、そこには家の中にいるはずのマルタとエナの姿があった。
「今日は満月だからね。久々にすっごい月光術を魅せてあげる」