瑠璃色のアバランド
その頃、中井優太は誰もいない教室の隅でひとり、ため息をついていた。

(はあ〜。一体どこに)

壁を背に座り込むと、優太の頭に先日の事が鮮明に思い出される。

机の回りでさわぐ級友たち。
目の前に差し出された紙に、言われるまま書かされた、遺書。

だれにも見つからないようにしてたのに。
どこで無くしちゃったんだろう……。

もしかしたら、今日の呼び出しもそのことだろうか、と不意に恐怖がおそってきた。

もしそうだとしても、そんな単純にイジメが無くなるわけがない。
たとえ先生が問い詰めても、なにも現状は変わらないどころか悪くなるだけだ。
案外、あの遺書も本物になるんじゃないか?

そう考えると思わず自嘲的な笑いが出た。

考えても仕方がない、優太は立ち上がって伸びをすると先生と約束した図書室へ歩き始めた。
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