瑠璃色のアバランド
昔は仲がよかったのだ。

中井と中崎、出席番号が近い二人。

不器用で何かとからかいの対象になりやすい優太と、スポーツ万能で人気者の真司。
真司が優太をかばう形で二人は仲良くしていたのだが
いつからだろう、真司が自分に対するイジメの中心になっていたのは。

図書室に入った優太は、誰もいないのを確認すると、ある本を探しに棚にむかった。

−あった。

優太の手には、深い青の表紙の本。
『アバランドの巫女』と書かれたその本は、朝日が差し込む図書室で、淡い光を放っている。

優太はゆっくりと懐かしそうに背表紙を開き、閲覧カードの名前を確認した。


−中井優太、中崎真司。

優太は昔から本や図書室が好きだった。真司はそんな優太を本の虫とからかい、本の良さなんてわからないと外に飛び出していた。
そんな真司が不思議とこの本に興味を持ち、最後まで読んだだけでなく感想まで語ってくれたのだ。

特に巫女に関しての真司の語りがかなり熱かったのを思い出し、優太はくすっと笑ってしまった。

先生が来るまではいいよね。そう考え、優太は青い表紙の本と一緒に思い出の世界へ旅だった。


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