王国ファンタジア【氷炎の民】ドラゴン討伐編
「そんときはまかしとき」
「え?」
「ちいっとは風も操れるしやな」

 にんまりと笑うクラウンはどこか獲物を前にした雪狼を思わせる。
 さらにサレンスに畳み掛けてくる。

「で、あんさん、ほんまはなん調べとるん?」
「は?」
 
 意外な言葉にサレンスは凍青の瞳を見開いた。

「隠してもムダや。ここまでんのは、癒しの民はんあたりに聞けば簡単にわかることや。なんでわざわざこんなとこで調べもんなん?」
「かなわないな、君は」
「よう言われる」
「ドラゴンは確かに厄介だ。私の力とて限りはある。だから、一番効率のいい方法を探そうかと思ってね」
「せやけど、危険なんやろ。やから、ちっこいのも撒いてきたとちゃう?」

 サレンスは両手を挙げた。

「降参するよ」

 言葉に反して銀髪の青年の口の端が吊り上がって笑みの形を取る。けれど、それはどこか挑戦的な笑みでもあった。

「禁忌に触れるかもしれない、氷炎の民の」
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