境界上
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つくづく口の減らないこの男――

渡辺蓮とは、同期入社を果たしてからもうカレコレ、3年は『友達以上恋人未満』の関係を続けている。


いや。

もし『幼なじみ』という忘れ去られかけた昔の関係から洗い出し、そのカテゴリーを優先させるならカレコレ………ああ。

25にもなるとその年数を算出するのも億劫だ。



「何? コレカラって時に溜め息なんか吐いて」


「……別に。つくづく気の遣わない関係にホッとしてるダケよ?」


「つくづく口の減らない女だな」


そのセリフはアタシのモノだと主張するのも

いちいち自分の思考を説明するのも


もうその全てが面倒でしかなくて。


「蓮」


その一言のみを残し、アタシは再び唇を寄せる。


そして、その全ての面倒をソレで片付けるアタシの癖を知り尽くしてる蓮も


「……つくづく手間の省ける女」


その一言を残すと、いつものようにアタシを至極の快楽へと導いていく――。




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