境界上
.


………胸くそ悪い。とっとと帰ろう。



危うくどうでもいい疑問で時間を浪費するところだった。


何で今ここに居るかなんて、もうどうでもいい問題だ。

問題なのは、“今ここに居ること”。


今が何時か知らないけど、タクシーを捕まえれば何とでもなる。


これ以上、アタシは“アタシのスタンス”を壊すワケにはいかない。


酔いが大して抜けていない、厄介なカラダを何とか起こし。

確信を持って壁のハンガーに目をやる。


そして、やはり当然のようにある“ソレ”に深い溜め息が零れた。



……こういう時、蓮のソツのなさは裏目だわ。


服にシワが付かないよう、いつも通り吊らされていたアタシの服。


……動くのすら一苦労だってのに。


「……………」


働きの鈍いカラダで着替えまでしなきゃ帰れないこの現状に。


何もかもがスムーズにいかないこの現状に。



「………っ、」



情けないかな涙が滲んだ。






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