境界上
.


久しぶりの深酒で、すっかり涙腺が緩んでる。


「……、……っ、」


こんな屈辱ってないわ。

どこまで失態が続けば気が済むのよ。


泣くならせめてこの部屋を出てからでしょう?


思い通りにならない鈍いカラダも。

言うことのきかない涙腺も。


本当に何もかもがクソ。

こんなことなら、ナンパ男に付いてった方がよっぽどマシだったわ。


「………っ、」


今にも零れ落ちそうな涙をぐっと堪える。


これ以上、惨めにさせないで。


鉛のように重いカラダをベッドから引き摺り下ろす。


これ以上、調子を狂わせないで。


そして、壁に掛かったハンガーを取ろうと腕を伸ばした時、だった。




「何帰ろうとしてんの」




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