君と竜が望んだ世界
 制限されども素早い動きをするバトルスペシャリスト、そんな彼に着いていけている、というより、より速い動きで彼を攻め、追い込んでいるハーヴェイ。


 今日初めて見た、どこか綺麗な同級生。“綺麗”という表現が正か誤か、それはわからないが、少なくともその外見は“格好良い”類であろう。


 そして幾度となく打撃を繰り出す彼のその洗練された、流れるようなに舞うような動きは、見る人の大半を恍惚と眺めさせるに値する程だった。


 ここは学園。術式全科クラス一年生。だが訓練所の一角で行われている徒手攻防戦は、そのレベルを遙かに上回る物だ。


 時間にすると数分。たった数分間、だが、ハーヴェイが拳をねじ込めば、ロイはそれを受け止めつつ、流す。

 ハーヴェイが脇腹へ蹴りを放てば、ロイは後ろへ後ずさり……

 単純なやりとりの中に、戦い慣れた彼等の“攻防の型”を、生徒たちにも垣間見ることが出来得た。


 ハーヴェイが戦い慣れているかどうかなんてわからなかったが、ロイと戦う“手本”のようなものを直に見せられれば、簡単に確信に変わる。




 そんな確信に至った時、猛撃から必死に身を守るロイに一瞬、隙が生じてしまった。
 決して油断していたわけではなかった。むしろ油断なんて万が一にも考えてはいけない人だということはわかっている。

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