僕は君のもの



結局、美紀たちは予定通り近くのファミレスに入った。


美紀の向かいに夕里さん。
恭ちゃんはなぜか美紀の隣に座る。



こういう時は夕里さんの隣に座るべきだと思うんだけど…。




「恭一…。」




美紀に構うことなく夕里さんが話し出す。


恭ちゃん!顔くらい見ようよ!


美紀は俯いたままの恭ちゃんをチラッと見る。




「私にはもう恭一しかいないの。私にはもう何にもないんだよ?
ねぇ…。」



夕里さんの真剣な顔。


何があったのかさっぱりわからないけど、なんか深刻?シャレになってない?



「恭一ぃ…。」



消え入りそうな声が恭ちゃんにすがりつく。



「俺…。」



ようやく恭ちゃんが口を開いた。



「俺は…。
俺にはもうわかんねぇ。お前にどうしてやったらいいのか。」




“わかんねぇ”



もう一度、そう呟いた恭ちゃんの声は震えていた。





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