きいろいアヒル
昨日、沢原くんに買ってもらった、ドナルドダックのマスコットがついたシャープペンを、私は胸ポケットにさしていた。



ドナルドの頭を撫でながら、“沢原くんが試験に通りますように”と念じていた。



大丈夫、きっと、大丈夫。


沢原くんは、留年になったりしない。



やがて、荒々しくドアが開き、田中先生――“鬼”がふてぶてしく入ってきた。


今日も凶器の三角定規を引き下げている。



だけど、心なしか、今日の“鬼”は機嫌がよさそうだった。
 


「起立」



日直が声を立てた。



「礼・着席」



号令が終わると、“鬼”は、自分の持ち物から一枚の紙を取り出し、しげしげと眺めるとうむ、と言って、名を呼んだ。



「沢原……沢原陵! 昨日の再試の結果だ。取りに来い」
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