大空の唄
-SORA-
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『そら…そら…』


暗闇から聞こえるその声は
遥か昔に感じてしまう幼き日の記憶


『──!』


俺は確かに何かを叫んでいるんだけど
その声は俺自身の耳には決して届かない


『そらのうたは…きれいだね』


この声は、いったい誰のもの?


昔は鮮明だった夢は段々薄れていって


今は色さえ失ってしまった


『そらは…ずっとうたっててね?』


心地よくて安心する


『あたしとはなれてもずっと』


『まって…いかないで』


初めて響いた俺の声は今より少し高くて


か細かった


『やくそくだよ』


君はいったい…誰?


『やくそくだよ』


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