大空の唄


式が終わり玄関の前は卒業生と在校生で溢れ返っている


「先輩!カズさん!」


あたしは先輩たちの元に駆け寄った


ごめんなさいとありがとうが言いたくて


「おっ絢音!」


先輩はカズさんと2人の女の先輩と一緒にいた


たしか右のさらさらストレートロングの美人さんはサユリさん


左のふわふわボブで可愛いのはユウカさん


先輩とカズさんの幼なじみ


あたしは2人に会釈する


「これが噂の絢音ちゃんね」


そう言ったのはサユリさんだった


はい、噂の…絢音ちゃんです
心の中で思いながら苦笑いをする


「噂通りかわいいな」


か、かわっ…


赤面するあたしを見てユウカさんは微笑む


「やっぱかわいい!
海斗にはもったいないわ!」


「あ"ぁ!?何か言ったか?」


そう言ってユウカさんを睨み付ける先輩


そんな光景を複雑な気持ちで見ていると不意に腕を掴まれた


えっ?


「あたし教室に忘れ物したから取ってくる

あ!絢音ちゃん借りるね〜」


そう言って掴んだ腕を引っ張ったのはサユリさんだった


「サユリずるい!!」


「早い者勝ちって奴よ
すぐ戻って来るからここで待ってて」


あたしは頭にハテナを浮かべながら
引っ張られるがままサユリさんの後を追った


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