大空の唄

音は共鳴する-SORA-



あっという間にライブが終わり、俺らは変装を終え会場を後にしようとしていた


「はー!!
今日のライブは最高に楽しかったな!!」


女装した陽が余韻を残した表情でそう言う


その言葉に大きく頷きながら


「おぅ!!
まだ暴れたりねー」


そう言って翔は拳を強く握った



俺は2人のやり取りを横目で見ながらもあえて反応はせずに足を進めた


こういう状況はいつものことだから2人も特に気にしてないだろう


俺らは出待ちの目を誤魔化すために観客に変装して正面からライブ会場を出た


誰も、俺らが正面玄関から出るなんて予想もしていないだろう


会場を出た瞬間柔らかい風に髪が揺れた


会場内が蒸し暑かったせいかその風がとても心地良い


辺りを見渡すと裏の出入り口にはいつもの何倍もの出待ちがいる


俺らはそそくさとその場を後にする


しばらく歩くと、すぐに人が疎らになった


そんな時だった


「そーらっ!」


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