クールな王子様


ドキドキと、いつのまにか鳴っていた心臓に気付いて自分の手を握りしめた。


呼び止められて振り返った望月は不思議そうな表情をして、私の前まで歩いてくる。




「…唯璃…?」


何も言わない私に望月は、だんだん心配そうな表情になって、じっと見てきた。








───少し気になったんだ。


「……なんで、私を…。
 心配、するの…?」


顔を上げ、望月の瞳を見つめて問い掛けた。




なんで、『私』を?



望月は苦しんでいる人がいたら、




誰にでも助けたいと、知りたいと言うの?




望月は、心配そうな表情から少し優しい表情になった。

まぁ、無表情だけど…(笑)




「…俺も…、まだよく分かんないんだけど…。
…唯璃、だからだよ。きっと。」


「…え?」




私、だから?






それは────……


少し、期待…してもいいのかな?


「…そんな、悲しそうな顔すんなよ。」


「っ、へ?!」


そう言われ、驚いて自分の顔に手をやった。




べ、別に悲しくないんだけど?!



むしろ、嬉しかった…かな?

ってどんな顔してたんだ、私!!


「嘘だよ、そんな顔してない。
 やっぱ、唯璃おもしろいな。」


「っ、───?!!」



ふっと、あの望月の自然な笑顔見せられ言葉を失って固まったとき。





……ふわっと、





その手で頭をなでられた。


「…足、ちゃんと治せよ?
 じゃあ…、また明日。」





恥ずかしいのと、


驚きと、




なんだかいろんな気持ちが交ざって顔が赤くなるのが分かった。






いい、今…!!

頭、なでられたぁああ!!?



望月が保健室からでてって、ひとりきりになって心の中で叫んだ。







ちょっ、ああ゙ーっもうっ!!


顔が、熱すぎるよ………。






なんてことしてくれたんだ、

あの王子様はぁああっ!!!
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