クールな王子様
………、
ひなちゃん…、みたいだ。
望月はひなちゃんみたい。
ひなちゃんもすごい。私にはない部分をいっぱい持っていて。
私は、そんなひなちゃんが大好きだしすごく尊敬してる。
なら、私は……。
望月も尊敬するんだろうか?
大好きに…、なるんだろうか。
『どんな意味』の大好きに───
そこまで考えてやめた。
なんか、私が望月に惚れるみたいな流れじゃん!!
なんか、恥ずかしいじゃん!!!
「どんなに時間がかかってもいいから、唯璃が何に苦しんでいるか知りたい。
……そんで、助けたい。」
違うことを考えていた私の耳に、そんな望月の言葉が聞こえた。
………助け…たい?
私を?……なんで…?
私、今日疑問ばかりだ。
望月は、私が予想できないことを言ってくる。
私は、今日初めて望月に会ったんだよ?
さっきも、今も。
なんで、そんなことを言えるの?
今まで、こんな人…。周りにいなかった。
望月は……、何者なんだよ……?
頭の中に浮かんでくる問いの答えは、自分は分かってる気がした。
私も……、
望月を知れば分かる問いだと。
私は、分かってるんだ。
だから────……
望月を見上げた私を一度ぎゅっと抱きしめたその人を。
「…分かったようなことばっか言って悪いな…。ごめん。」
そう言って抱きしめた腕を離してドアへとむかった望月を。
「…っ、望月!!」
そう呼び止めたんだ。