イケメン倶楽部
「葵…!」
「え?」
健先輩…?
先輩の腕が後ろから伸びてきてのと同時にあたしの体が宙に浮いた。
でも、そんなのは一瞬。
「走るぞ!」
「は、はい…!」
後ろでは、女の仔達の声が聞こえている。
そんな中を先輩に引っ張られるまま、あたしは全速力で走った。
着いた場所はさっきのところから随分離れた校舎の裏にあるベンチだった。
健先輩はベンチの端に座ると、あたしに座れと促した。
「「……。」」
しばらくの沈黙。
これってあたしから、話さないとだめだよね?
「あの…ありがとうございました…!」
「別に。」
「「……。」」
また沈黙。
全然会話が繋がらない。
でも、次に口を開いたのはあたしじゃなく、健先輩だった。