甘味処

「朱夏あたし、宙に今日言うね。
ちゃんと...あたしの気持ちを。
だ…から今日は帰れないかも......」



「わかった!でもいつ言うの?」



授業中ずっと考えた結果、
放課後、誰もいなくなった教室で伝えることにした。

宙といろいろあったのって、
やっぱりココだと思うから。


宙は、星桜に負けないくらい人気で
男女両方ともから慕われてる。

だからあたしから声かけにくいんだよね…。


「教室で言いたいんだけどね…
宙に声かけにくくて…」


男子とか絶対冷やかすし
うっとうしいから嫌なんだよね。
宙も気分悪いと思うし......


「んじゃあ大翔に頼む?」


そっか。その手があったか。



「ぁー…でもいいや。」



「なんで?そっちの方が、
ほかの男子からチャカされないでしょ?」



「そうかもしれないけど…
この事は自分の口ですべてやりたいと思ったの…。

小さい事だけど全部、したいんだ。」


あたしが言うと朱夏はニッコリほほ笑んで


「そっか!叶愛は成長したわねっ!偉いーっ」



そう言ってあたしの頭をなでた。



「ちょっ…朱夏!あたしは子供じゃないんだからっ!」



「あははっ!んで?どうすんの?結局!」



「これは、あんまり気のりしないんだけど…
最終手段だっ!」


あたしは朱夏の手を引いて教室を出た。



「はあ??ちょっ叶愛??」




「トイレで待ち伏せすんの!!!」



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