ラブ☆ヴォイス
「あたしの恋の始まりはあっくんの『声』なの。だから…特別。あっくんの『声』はあたしの中で絶対に…いつまでも特別。」
「…特別なのは嬉しいけど、俺の声だけじゃなくて俺自身を特別にしてくんね?」
「も、もちろんあっくんは特別だよ!でもその中でも声はちょっと別の意味で特別…なの!」
「…そーですか。でも、いいよ。俺らの始まりは声だからさ。」
「でしょ?」
「ま、俺的な始まりはある意味ラブレターだけど?」
「だからっ!もう手紙のことはいいのっ!」
「なんだよ…照れんなって。俺は嬉しかったっつってんじゃん。つーか他のファンレターも読んでみようかなって思ってんだけど。」
「え…だっ…ダメっ!」
「は?なんで?」
「だっ…だって…他のファンレターだって…た、多分ラブレターだもんっ…。」
「お前ほど情熱的に綴ってくる奴なんかいねぇよ。」
「いるよ!あっくんの女性ファンって多いんだから!」
「知ってる。…つーかなに?ヤキモチ?」
「ヤキモチっ!」
「…ったく、ほんっと素直な奴だな、お前。」

 あっくんの手が、頭をポンポンと軽く撫でる。その手が頬に添えられた。そしてそのまま、唇が重なった。離れたあっくんの唇が、耳元へと移動した。

「…ヤキモチなんか必要なし。俺がこうやって囁くのはお前の耳元でだけだから。俺の声の独占権はお前にしかねーよ。」
「…っ…あ…ありがとうございますっ…。」
「愛の言葉をこれでもかっていうくらい囁いてやるよ。」
「…手加減…お願いします…。」
「手加減?んなもんするか、バーカ。」
 
 甘く甘く、どうしようもなく甘く響くのはあなたの〝声〟が特別だから。

「好きだよ、唯。…どうしようもないくらい、愛してる。」
「…っ…あ、あたしも…大好きっ…!」

*Fin*
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