恋に落ちた、この瞬間。

ピーマン嫌い、継続中。

「ほら、先に食ってな」


「うん、ありがとう」


ゆらゆら立ち上る白い湯気から美味しそうな匂いが広がる。

その匂いにつられ、まおの顔が緩んでいる。


こんな嬉しそうな顔、するんだな。

俺の前じゃ、ほとんど見せた事の無い笑顔だ。
どうして俺には笑わないのか? やっぱり、嫌われている? 警戒されているのか?


笑えば、可愛いのに……。


なんて言葉。 まおには絶対、言ってやらない。


「ほら、食え」


「うん!」


嬉しそうにハンバーグにハシを入れている姿を見るとこっちまで嬉しくなる。


まおの顔を見ていると、な。

でも、机の上のサラダを見ると、ズドーンと気分が落ちる。


まおが座っているのは机の一番端。
普通なら、まおの対面に俺の分のサラダが置いてあるのが普通なんだけど。


なぜか、まおから一番遠い所にあるんだよな。


――― 俺の分の“サラダ”が。


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