-短編集-『泡雪』

僕は、君の首筋で脈打つ、雪の流れを思った。

君の躯の中では、確実に雪解けが始まり、

新しい春をその青い静脈にのせて、



僕らの迎える、まっさらで清らかな春を祝福していた。


そのために、

僕らは一度、全身で氷に還るんだ。


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