双子悪魔のホームステイ
「気のせいだろ……。」
「でも……」
クレイの方へ歩み寄りながら、結祢はハッと目を見開いた。
月の光に照らされ、クレイの左手が赤く染まっていることに気付いたのである。
「ク、クレイ君、そ、その手!!ま、まさか、血なんですか!?」
「違え……っ……げほげほっっ!」
否定しようとして、クレイは再び咳き込む。
とっさに右手で口を押さえたが、指と指の間から床にポタリと一粒の赤黒い液体が漏れてしまった。
「クレイ君!!」
たまらずに、結祢はクレイに駆け寄って上半身を支えるようにして彼の背中に両手で触れる。
クレイは拒否する元気も無いようで、彼女の手を振り払わずにうつむいてゼエゼエと息を切らした。