双子悪魔のホームステイ


青年は激しく咳き込んだかと思うと、口元を左手で覆った。



「はあはあ……少しどころじゃねえ……ヤバさだな……。」


左手の平を口から離してみると、その手は赤黒く染まってしまっていた。

青い瞳が悲しげに細められる。



「クレイ君……?眠れないんですか?」


不意に、背後から声をかけられ、クレイというらしい悪魔の青年はバッと素早く振り返る。



「結祢……。」


名を呼ばれ、声をかけた人物……綿葉 結祢はパチパチと二度まばたきをしながら、はいと答える。


歳は十代後半といったところだろうか。

きっちり三つ編みに編み上げられた髪に、卵形の顔に映える大きめの黒い瞳を持っていた。



「何でも……っ……無えよ。俺様に……構わず……っ……さっさと寝ろ……。」


「何だかすごく苦しそうに見えますけど……。」
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