双子悪魔のホームステイ



「実は……?」


ひょこっと顔を覗き込んで催促するように訊く星駆に、



「か、風邪引いて鼻が詰まっていまして……そ、それで口呼吸していたんです。だ、だから、ため息をついているように見えるんですね、きっと……。」


結祢はどぎまぎしながら、口から出任せを述べる。

その様子を確認したクレイは、ふいっと視線を黒板に戻した。



「結祢ちゃん……風邪引いてるの?のど飴、要る?」


「だ、大丈夫ですよ。た、たくさん食べて寝れば治りますから。」


「そう……?」


星駆はまだ納得していないような微妙な表情をしていたが、



「じゃあ、この問題は……空浪君!答えを黒板に書いてくれる?」


「あ……はい。」


教師に当てられ、起立してスタスタと黒板に歩いていった。



(うう……またしても嘘ついてすみません、星駆君……。)


答えを白いチョークで黒板に書く星駆の後ろ姿を見ながら、結祢はそう謝っていたのだった……。
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