双子悪魔のホームステイ
同時刻、天界にて。
「ねえ、“クリームローズ”のショートケーキ買ってきたんだけど、食べる?」
短いウェーブがかった紫色の髪に茶色の瞳を持つ死神……ティディ・アークネットは、聞く者をドキッとさせるような妖艶な声で隣に居る少年に誘いかけていた。
両手には白い箱が抱えられており、仄かに甘い匂いが香ってきている。
「あ、あの有名な天界ケーキショップ“クリームローズ”のショートケーキじゃと!?小生が断るわけがなかろう!」
誘いかけられた少年は、頬を仄かに赤らめて水色の瞳を細め、強い口調で言葉を返す。
前髪の一部だけが桃色の白い髪にふさふさのクマミミを付け、黄色いスカーフを首に巻くという奇抜な格好をした疫病神……エイビル・ジオンである。
どうぞとティディから箱を受け取った彼は、箱を開けてショートケーキを取り出すとすぐさまカプッとかぶりついた。